表紙とコラム Vol.150 | |
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七尾市ののとじま水族館にはコツメカワウソのいる水槽があるのですが、そこにやってくる人の何人かに一人は目の前の動物をラッコだと勘違いしてしまうという話を聞きました。 同じイタチ科とはいえ、カワウソとラッコでは大きさから生態までまるで異なります。それだけカワウソになじみが薄くなっているということなのでしょう。 かつてカワウソは日本全国の川に広く生息していたといいます。人を化かす動物というとタヌキやキツネが代表的ですが、カワウソも怪異をもたらすとされていました。ある能登の古老によると、カワウソにだまされる話は日常茶飯事だったそうです。 一方、カワウソは愛すべきキャラクターとしてアニメにもなりました。吉田戦車が描いた「かわうそ君」を覚えている人も多いのではないでしょうか。1990年代前半の作品です。 考えてみれば、カワウソが親しみある存在だったのはせいぜいこの頃までで、その後は日本人の意識から急速に遠ざかってしまったのでした。 環境省がニホンカワウソを「絶滅種」に指定したのは数年前のことです。30年目撃例がないという点が決め手になったのだと記憶しています。 姿を消して30年というのが絶滅の判断基準として妥当かどうかはわかりません。人の目の届かない場所でしぶとく生きている可能性は捨てきれないようにも感じます。 いつかひょっこり顔を出して大ニュースになり、ラッコから人気者の座を奪ってくれることを私はひそかに期待しています。 |
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山中温泉こおろぎ橋(石川県加賀市) 山中温泉の名所「鶴仙渓」には、総檜造りの「こおろぎ橋」のほか、湾曲したS字型鉄骨の「あやとり橋」と、コンクリートアーチ橋の「黒谷橋」の3つの橋が架かっています。遊歩道からの紅葉も良いですが、それぞれの橋の上からの紅葉も見事です。 |
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