DAIDO INFORMATION
表紙とコラム Vol.149
矢ばなの里の赤そば(福井県大野市)

夕暮れが本当に早くなりました。秋の夜長です。

「夜のしじま」という言葉が似つかわしい季節ですが、それでも今の時代はどこに行っても音が氾濫していてなかなか無音長夜には出会えません。

ひっきりなしに走る車、隣近所から漏れてくる生活音・・・暮らしから静寂がなくなったせいか、人々のコミュニケーションからも無音の間合いが減ってしまったように感じます。競い合うようにしゃべる若者、矢継ぎ早に質問するショップの店員など、まるでしーんとした空間が我慢できないようです。昔はもっと会話にもゆとりがあったように思うのですが・・・

そういえば昔の落語家は高座に上がってからすぐにしゃべり出さず、ゆっくりと茶を飲むところから始め、客はそれをひたすら見守っていたといいます。静まり返る寄席の雰囲気を楽しもうとする客の姿勢は粋ですが、その視線の中で黙して茶をすする落語家というのもプロ中のプロといえるでしょう。

大胆不敵なかつての落語家に倣えとまではいいませんが、無音の間合いが言葉以上の説得力を発揮したり心地良さを与えたりすることが日常生活にもあるような気がします。仕事もプライベートももっと落ち着いてゆったりとやりとりすれば良いのです。

矢ばなの里の赤そば(福井県大野市)
信州には大きな赤そば畑がいくつかありますが、福井県大野市にも赤そば畑があります。それほど大きくはありませんが、10月中旬には赤いそばの花が見れます。かたくりの花の群生地として「矢ばなの里」は地元では有名ですが、赤そばが見れることでも知られるようになりました。

<<前のコラム 次のコラム>>

戻る