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表紙とコラム Vol.131
足羽川の桜(福井県福井市)

「これでまた酒が飲めます」
そう言って相好を崩したのは知人の営業マンです。彼の家は今年2人の娘がダブル受験。
難関の志望校を目指して勉強に励む我が子のために自らも何かできないかと考えて彼が考えたのが「酒断ち」だったというわけです。
解放感に満ちた彼の口ぶりが大願成就の春を伝えていました。

神仏に願をかけるときに自分の好きなものを断つ行為は昔からよく聞く話です。戦の勝利を期して、女性との関係を一生持たなかった上杉謙信の「生涯不犯」などはその代表的な例といえるでしょう。
とはいえストイックになることと成功との因果関係ははっきりとはしていません。迷信だという人もいます。でも私は何かを達成するために取り組む禁欲生活がまったくナンセンスなことだとは思いません。我慢することで緊張感が生まれ、それが大きな集中力を生み出すような気がするのです。

ところで先日終わった野球のWBCでは、侍ジャパンの首脳陣の一人が孫に会うために遠征先から何度か帰京する姿が報道されていました。孫の成長を確認して安らぎを得たいという気持ちはわからないでもないですが、愛する者との接触を断つ姿勢を選手たちに見せていればチームの士気はもっと高まっていたかもしれません。
侍を標榜している以上、指導者側にはそんな求道者のような精神が必要だったのではないか、私はそう考えています。

足羽川の桜(福井県福井市)
福井市を流れる足羽川の堤防は、約2.2kmに渡り、桜並木が続いています。約600本のソメイヨシノは、開花時期には大きな桜のトンネルを作り、 「日本さくらの名所100選」にも選ばれています。夜間はライトアップもされ、幻想的な空間を生み出しています。

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