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表紙とコラム Vol.81
成巽閣(金沢市)

冬場になると、決まって体がかゆくなります。最初に気付いたのは3年くらい前だったでしょうか。すねや背中などに激しいかゆみを感じたのです。そのときは何かにかぶれたのかと思って薬を塗りましたが、いっこうに治まる気配がありません。
思い余って知り合いに打ち明けたところ、衝撃的な事実が判明しました。かゆみの原因は加齢だというのです。年をとることによって皮脂の分泌が少なくなり、肌全体が潤いを失った結果の症状らしく、医学的には「老人性乾皮症」とか「老人性掻痒症」と呼ばれているのだとか・・・いずれにせよ頭に「老人性」とついているのがショッキングです。

けれどもこうした症状に悩まされている人は男女を問わず多いようで、いつのまにか私もそんな人たちの輪に加わり尿素配合が良いとかヒアルロン酸が良いなどと情報交換するようになりました。

ところで肌の乾きといえば、手元の紙資料がなかなかめくれなくて四苦八苦することが最近増えてきました。これも指先の保湿力が低下しているのだとすればせつない話です。
そういえば小学校時代の男の先生はプリントなどを配るとき、いつも指をなめるので、たいそうブーイングでしたが、もしかすると彼も急速に水分を失っていく肌を思いわずらっていたのかもしれません。たしか今の私と同じくらいの年齢だったはずです。
「汚い」「不潔だ」などとさんざん悪態をついたことにちょっと胸の痛みを覚えています。

成巽閣(金沢市)
重要文化財成巽閣(せいそんかく)は兼六園の中にある歴史博物館です。 前田家の奥方(母君)のために立てられ、巽御殿(たつみごてん)と呼ばれていました。 現在は成巽閣と名を改め、加賀藩に伝わる品々を展示しています。 細やかな心配りの雅な空間をご覧下さい。

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