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表紙とコラム Vol.40
尼御前岬(加賀市)

台風が近づくとコンビニではカロリーの高い弁当がよく売れるそうです。
万一に備えてスタミナをつけなければ、と人間は本能的に考えるものなのでしょう。
そんな台風の季節が到来しました。

台風といえば、私は何年か前に「台風の目」を目撃したことがあります。
日本海を進んでいく台風を偶然、高層ビルから眺めることになったのですが、 それは実に不思議な色模様でした。墨絵のような雲が渦巻いているというのに中央の一部分だけが空の青に突き抜けていたのです。
「台風の目だ!」「目が見えるぞ!」
周りにいた人たちは興奮して口々にそう叫んでいました。
私も生まれて初めての体験ですっかり舞い上がっていたのですが、 不気味な雲の中で鮮やかに空いた「台風の目」には何か生命のようなものを感じずにはいられませんでした。

あの日以来、私は台風発生のニュースを耳にすると複雑な心境になります。
「被害はもたらしてくれるな!でも生き延びろ!」
台風にシンパシーを感じても仕方ないのですが、それを単なる自然現象とわりきれない私です。

尼御前岬(加賀市)
義経の伝説が残る岬です。源義経の一行が都を逃れ陸奥の国へ向かう途中、従者の中の一人の尼が、 この先の安宅の関での取締りが厳しいことを聞き、義経の足手まといにならないように、 義経の無事を祈りながらこの岬から身を投じたと言い伝えられています。
この尼の名からこの岬を尼御前岬と呼ぶようになったそうです。

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