夏を待ちかねた入道雲が、梅雨明けを合図にせり出してきました。 暑くなればなるほど鮮やかさを増す青い空と白い雲・・・ 陽射しがどんなに照りつけようと、私はそんな自然の配色を美しいと感じます。 考えてみると、今の世の中、天然色だと胸をはって言えるものが少なくなりました。 バイオテクノロジーでバラを青くしたように、野菜や果物の中には見事に発色するよう栽培段階で工夫されている品種があります。人工着色の宝石も珍しくありません。 要は見た目にこだわる人がそれほどに多いということなのでしょう。 そういえば白骨温泉の入浴剤混入問題で会見した関係者は「温泉が透明なのはおかしいとお客さんに言われ、なんとかしたかった」と語っていましたが、利用者の側にも正すべき点はあったのかもしれません。 どうやら現代は生活の中から本当の色がどんどん失われてゆく時代のようです。 ありのままの色合いを見せてくれるのは、それこそ夏の空くらいになってしまいました。