表紙とコラム Vol.206 | |
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かずら橋(福井県池田町)
足羽川渓谷にかかる、シラクチカズラでできた橋です。 高さ12m、全長44mのかずら橋は、板と板の隙間が大きく、川面が見えるのでスリル満天です。 また橋の中央に進むにつれ揺れも大きくなるので更にスリルを味わえます。 かずら橋の周辺には遊歩道もあり、四季折々の自然も味わえます。 |
百貨店不振の話題をよく耳にします。ネットショッピングや郊外型ショッピングセンターに押され、 全国百貨店売上はピーク時の約半分、店舗数もピーク時の310から200店舗程度にまで減少しているそうです。 幼い頃の私にとって百貨店は夢の場所でした。 年に1~2度、親の買い物について行くだけでしたが、高級な香り、整然とした陳列棚、特別な包装紙、レストランでの昼食、屋上の遊園地、 全てが異空間で、買ってもらえる筈もないオモチャを眺め、遊んでいる自分を想像する事すら楽しみでした。 しかし近年では、家族で着飾って百貨店へお出かけする、いわゆる「ハレの日」感覚が薄れているような気がしてなりません。 またある調査では、百貨店に行かなくなった理由に「店員が煩わしい」ことが挙げられており、空気を読まない接客等、サービス低下も否めません。 そう言えば十数年前に読んだある本を思い出しました。 プレゼントの高級腕時計を百貨店で買ってほしいと言う彼女に対し、同じ物ならディスカウンターで買い、 差額で温泉でも行こうと提案する彼。彼女は「モノ」としての時計が欲しいのではなく、 クリスマスイブに彼と一緒にゴージャスな雰囲気の中で、女性店員が恭しく接客し、 白手袋でケースの中から出してくれた時計を買うという「体験」が欲しかったのだと...。 そう、百貨店は単に商品を売る場所ではなく、「体験」という特別な付加価値を提供してくれる場所であってほしいのです。 特別な日に、特別な人と、特別な物を買った経験を自身の思い出に刻みたいと考える人は少なくありません。 非日常を提供してくれる百貨店が、いつもそんな人で賑わい、そんな場所でありつづけてほしい、そう願います。 |
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