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表紙とコラム Vol.176
敦賀港イルミネーション ミライエ(福井県敦賀市)

何を隠そう私は日頃慣れ親しんだ道具でなければ力を発揮できないタイプの人間です。
仲間の何人かは代替品であっても顔色一つ変えずに使用しますが、私にはそんな「弘法筆を選ばず」のような真似は逆立ちしてもできそうにありません。

かつて引退会見にプロ生活を支えてくれたグラブとともに臨んだ野球選手がいました。 その選手は入団時に買ったグラブを修繕しながらずっと使い続けていたそうです。
道具を大切にする人はたくさんいますが、ぼろぼろになったり壊れたりしたときに補修してまで使おうとする人は今の時代、そんなに多くはいません。 あっさり見切って新品を購入する人がけっこういます。使っていくうちに慣れるし、何よりおろしたてが魅力に映るのでしょう。
それは間違いではないかもしれませんが、私はそんな風に割り切ることができません。 たとえば今使っているヘッドフォンは片耳が聞こえなくなり、同型機からスピーカーだけを移植しました。 今も良い音でなんとか鳴ってくれています。

年の瀬になると、私はそんな愛着のある道具の声に耳を傾けます。 中には「もう限界だ。そろそろ引退させてくれ」そんな呟きを発しているように感じるときもありますが、その度に私は「そんなことを言わず、来年もがんばってくれよ」と話しかけるのです。

あとしばらくで愛用品たちの今年の活躍が終わります。 大晦日の夜、私は彼らを隅々まで手入れし、この1年の労をねぎらってやるのです。

敦賀港イルミネーション ミライエ(福井県敦賀市)
敦賀港の金ヶ崎緑地を彩るイルミネーション「ミライエ」は、北陸最大級の40万個を越えるLED電球で光のトンネルやオブジェが作られます。
光のカゴやハート型のオブジェの前にはカップルや家族連れが記念撮影の長い列をつくり、チビッコたちには光の機関車が大人気です。
(2016年の開催は、11月3日~12月25日です)

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