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表紙とコラム Vol.140
越前竹人形の里(福井県坂井市)

知人の中に毎年、見事な毛筆で年賀状を送ってくださる方がいます。今の時代、パソコンで筆文字の書体を印刷するのは何の造作もないことですが、プリントアウトされる文字はしょせん無機質な印象しか与えません。それに比べると書の道に通じた人がしたためる文字は筆の運びの強弱からたしかな想いが伝わってきます。やはり筆による賀詞はうれしいものです。

先日、小中高校生を対象に書初めコンクールの作品を募集していることを知りました。学年ごとに課題があり、たとえば小学1年生は「うま」、3年生は「日本」、6年生は「初春」、上級生になるにつれハードルが高くなっていくのがわかります。一方、中学生になると2年生は「立志」、3年生は「卒業」、書初めを通じてしっかりとした意志を確立して欲しいという主催者側の意図を感じました。そして課題も高校生になると一気に難易度が上がり「駿馬(しゅんめ)」です。「駿」は17画もある漢字ですから「馬」とのバランスに苦労することでしょう。

ためしに私も「駿馬」と書いてみました。いちおう有馬記念で優勝したオルフェーヴルを思い描きながら半紙に向かったのですが、「駿」が巨大化し躍動感などみじんも感じられませんでした。普段、パソコンにばかり頼っている人間がいざ筆を持つとこんなものなのでしょう。想いを文字にできないもどかしさ・・・
ふと絵文字やデコメに慣れきった子供たちがどんな書初めを提出するのか考えてしまいました。

劔神社(福井県越前町)
福井県越前町の劔神社は、越前二ノ宮として、毎年多くの人が参拝します。織田信長の祖先が神官として仕えていた神社で、尾張の国に派遣された時に、故郷の地名の織田を苗字にしました。本殿は県の指定文化財、梵鐘は国宝で、境内には信長に縁のあるものもあります。

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