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表紙とコラム Vol.101
氣比神宮(福井県敦賀市)

世間を騒がせている100歳以上の行方不明事件は困ったことですが、高齢になってもなお元気に毎日を過ごしている人たちの話を聞くのは微笑ましいものです。
テレビで見た国内最高齢の男性、113歳になる京都府の木村次郎右衛門さんもそんなかくしゃくとした長寿者の一人でした。風貌がどこか往年の映画俳優、笠智衆のようで一本芯の通った日本のおじいさんの雰囲気を漂わせているところも良いと思いました。

笠智衆といえば、明治の男は人前で泣くものではないとして、映画やドラマの中で自らが涙を流す演技を頑として拒んだそうですが、木村さんも若くして亡くなった孫のことに質問が及ぶと「つらいことは話しても何の役にもたちませんから」とさらりとかわしていました。たぶん哀しみの表情を他人に悟られたくなかったのでしょう。
そうした昔気質の気概を私は素晴らしいと思います。

けれどもそんな明治生まれの男たちとは対照的に現代のシニア層は感情が表によく出るようです。映画館でもハンカチ片手にスクリーンを見つめる年配の男性が少なくないのだとか・・・ 高齢者といっても世代によって考え方に差異がある時代です。

だからこそ私は毅然とした明治生まれの男たちの声を記録に留めておく必要性を感じます。「長寿の秘訣は?」などと尋ねるのも良いですが、マスコミはもっとその年輪の深さに迫るようなインタビューをして欲しいものです。

氣比神宮(福井県敦賀市)
越前国一の宮の風格を漂わせる大鳥居(国の重要文化財)は、高さ11mの木造で、広島の厳島神社、奈良の春日大社と並び日本三大鳥居に数えられます。 境内にはこの地を訪れた松尾芭蕉の銅像や敦賀市指定の文化財でもあるユーカリの巨木があります。

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