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表紙とコラム Vol.79
金沢城公園(金沢市)

11月の終わり、金沢に初雪が降りました。
冬になれば見るのもイヤになるくらい雪の降る土地ですが、それでも初雪の便りにはどこか華やいだイメージを持ってしまいます。
北陸で暮らしていてさえそうなのですから、雪の降らない地域の人たちが初雪に抱く期待はもっともっとロマンティックなものでしょう。 静かに舞い降りる粉雪にカップルが微笑みながら手を差し伸べているような光景を思い描いたとしても少しも不思議ではありません。

けれども、この地でそのような甘美な初雪に遭遇することはまずないといっていいでしょう。 北陸の初雪はいつも雷が轟き、強風が吹く荒れ模様の中で観測されるのです。 初雪くらい映画のワンシーンのように美しく降ってくれないものかという私の願いは裏切られてばかりいます。

ところで初雪といえば、その判断は機械ではなく、桜の開花宣言などと同じく気象台や測候所の職員の目視に任されているのだそうです。 どうせ人間が宣言するものなら、初めての雪には「美しさ」という基準も加味してはどうでしょうか。
あるタクシー運転手さんが「金沢に雪が降ると観光客が動く」と語っていました。
雪が観光資源のようになっている土地なのですから、それくらいの遊び心があっても良いような気がします。

金沢城公園(金沢市)
1583年から1869年まで加賀藩主前田家の居城であった金沢城は、その後終戦まで陸軍の拠点となった後、平成7年までは金沢大学のキャンパスとして使われていました。 現在は金沢城公園として一般開放されています。年に数度のライトアップがあり、次回は2月にあります。

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