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表紙とコラム Vol.50
義経の舟隠し(志賀町)

サッカーW杯の決勝トーナメントの芝をサムライブルーが駆けることはありませんでした。
ブラジルに格の違いをみせつけられた直後、うつろな目をして街を歩く若者を何人か見かけましたが、今後サッカー熱が急速に冷えてしまわないことを願います。

ところで今回のW杯、テレビ中継を見ていて私には少し気になったフレーズがありました。
それは実況アナが選手のことを頻繁に「枚」で数えていたことです。たとえば「FWの登録はあと一枚」とか「MFにあと一枚欲しい」などという表現が連発されました。
これは言葉として無理があるわけではありません。日本語には古くから「一枚看板」「二枚看板」のように中心人物の数を「枚」で示すことがありました。別にサッカーで用いられても誤りではないでしょう。

しかし、私はどうもサッカー選手を「枚」で数えてしまうことに抵抗があるのです。 それはたぶん選手をカードゲームのように扱う物言いに対する違和感なのだと思います。 選手たちは手持ちの札でも、組織の歯車でもありません。 私たちは個性あふれる選手の登場を望み勇気あふれるシュートを期待しているのです。

どこかオーラに欠けたW杯での日本・・・ 実況アナが選手の数を「一枚」「二枚」などと呼んでいては、世界の大舞台で自己主張ができるプレーヤーの出現がますます遠のいてしまうのではないでしょうか。

義経の舟隠し(志賀町)
松本清張の小説「ゼロの焦点」の舞台になった断崖絶壁「ヤセの断崖」から遊歩道を100mほど歩くと、「義経の舟隠し」があります。 兄、頼朝から逃れるため奥州へ行く途中、この地で嵐を避けるために48隻もの舟を隠したと伝えられています。 100mほどの細い入り江は青く奇麗な海水で満たされています。

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