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表紙とコラム Vol.35
金沢城公園五十間長屋(金沢市)

かつて北陸の人たちには列車のことを「汽車」と呼ぶ習慣がありました。 さすがに駅舎も建て替えられ車両も新しくなった現代、そのような言い方をする人は 少なくなりましたが、それでも私は夜の駅でブルートレインに出合うと「汽車」という 響きを懐かしく思い出してしまいます。

新幹線や飛行機を使えば短時間で着けるところを一晩がかりで走り抜くブルートレイ ンのひたむきさが「汽車」が醸し出した郷愁と重なるのです。 あの独特の青い車体を眺めていると「汽車賃」とか「汽車時間」などという言葉を 遣った祖父や祖母の顔が浮かんできます。

しかし、そのようなブルートレインにもリストラの波が押し寄せる時代になりました。 この春のダイヤ改正で「あさかぜ」と「さくら」という2つのブルートレインが役目 を終えたのはご存知のとおり・・  そのほかのブルートレインも一部の人気列車を除けば大半が赤字だといいますから、 今後ますます廃止は増えることでしょう。 時代のスピード化で採算のとれない列車の運行が見直されるのは仕方のないことかも しれませんが、「汽車」という言葉まで消えてしまうようで私にはせつない話です。

金沢城公園五十間長屋(金沢市)
金沢城公園の新しいシンボルとして「五十間長屋」は、「菱櫓」「橋爪門続櫓」とともに平成13年に復元されました。 古いお城の外観と違い、バリアフリーの内部は、CGや音声ガイドなどを使った展示施設になっています。 お花見シーズンにあわせ、今年は4月1日から10日まで、金沢城と兼六園はライトアップされます。

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