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表紙とコラム Vol.209
白山平泉寺(福井県勝山市)
白山平泉寺(福井県勝山市)
平泉寺は717年に泰澄大師により開かれた霊場で、最盛期には48社36堂、6000の僧坊で白山信仰の拠点とし栄えました。 一向一揆により全山が焼失してしまいましが、その後、一揆を逃れた僧たちにより、境内の中心部は再興されました。 緑の絨毯を敷き詰めたような境内は苔の宮とも呼ばれ静寂さに包まれています。

ラグビーワールドカップが開催されました。鍛え抜かれた強靭な肉体が繰り広げる世界トップの戦いに、ラグビーに興味のない人でさえも魅了されているのではないでしょうか。

ところでラグビーには試合終了を意味する「NO SIDE」という言葉があります。戦いが終われば両サイドがなくなり、お互いの健闘を称えあう意味を持ち、ドラマや日常のビジネスシーンなどでも広く使われています。

しかし「NO SIDE」を使っているのは日本だけで、今は全世界的に「FULL TIME」が一般的だそうで、日本以外ではすっかり死語になっていると聞き驚きました。

そもそも発祥の地イングランドでは、ラグビーは中~上流階級の「紳士のスポーツ」と言われてきました。コンタクトが激しく熱くなりやすい場面も多いのですが、試合が終われば敵味方は無く、交歓会でお互いのプレーを称賛しあうなど、紳士的の精神は長く受け継がれています。その精神を、試合終了、つまりサイドがなくなる瞬間を捉え「NO SIDE」と表現したことにはとても共感を覚えます。

それが「FULL TIME(全時間終了)」だと、なんとも味気なく機械的で、そのまま「お疲れ様~」と言って、三々五々、選手達が去っていきそうな雰囲気さえ感じます。

先日、日本の歴史的勝利が世界中に報道されましたが、敗れたアイルランドチームが花道を作って日本チームを称えました。それに日本チームもお返しの花道で応え、お互いに対するリスペクトが伝わる美しい光景もまた大きく取り上げられました。「NO SIDE」の精神を言葉ではなく、実践して伝えたシーンではないでしょうか。

初めて日本開催となった今大会を機に「NO SIDE」の言葉を改めて全世界に発信し、近い将来、「NO SIDE」が世界標準を取り返すことを期待して止みません。

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