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表紙とコラム Vol.155
JR金沢駅 鼓門(石川県金沢市)

英語のことわざに「3月はライオンのようにやってきて子羊のように去っていく」という言い回しがあるそうです。 ライオンは低気圧による嵐、子羊は移動性高気圧による穏やかな陽気を指すらしいのですが、一般に四季の移ろいに無関心だと思われがちな欧米の人たちにとっても冬から春への変化はやはり格別なのでしょう。

とはいえ冬の佇まいから春の予兆を感じるまでの表現ということでは日本の方がはるかに巧みです。 「春寒」や「春疾風(はるはやて)」、「木の芽時」など様々に用意された季節の言葉が絵巻物のように優雅に移りゆく風情を見事に言い当てています。

さて、ここ数日、北陸も気温が上がり、近くの山々がかすんで見えるようになってきました。 かすみは春によく見られる現象ですが、実体は空気中に舞い上がったちりや水滴です。 早春は植物が十分に根を張っていないこともあって他の季節よりもかすみがかかりやすいのです。

私は前々から濃霧注意報があるのだから、かすみ注意報があってもおかしくないのでは、と考えていました。 しかし先日、ある天気予報で「霧には視界1キロ未満という定義がありますが、かすみにはありません。だからかすみに注意報はないのです」などと解説していました。

納得はしたものの、私はやはり「かすみ注意報」を捨てきれません。注意報で季節の趣を知るなんて素晴らしいと思うのですが、いかがでしょうか。

JR金沢駅 鼓門(石川県金沢市)
北陸新幹線の開業で賑わう金沢駅のシンボル「鼓門」は、兼六園口(東口)にあります。
「鼓門」と駅舎の間には、雨の多い金沢を訪れる人に差し出す雨傘をイメージした「もてなしドーム」があります。 伝統芸能をイメージした「鼓門」と近代的なガラスドームが、おもてなしの心を表しています。

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