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表紙とコラム Vol.122
高岡大仏(富山県高岡市)

ネクタイを外して歩くビジネスマンの姿が夏の風景にすっかり溶け込みました。節電で拍車がかかったとはいえ、ノーネクタイの定着ぶりには驚くばかりです。

私が子供だった頃、オイルショックをきっかけに省エネが叫ばれたことがありましたが、あのときはカジュアルな服装がここまで広まりませんでした。
当時、軽装化が進まなかったのは、政府が提案した「省エネルック」が野暮ったからだったという人がいます。たしかにスーツを半袖にした「省エネルック」は珍妙な服装でしたが、すべてをそこだけに押し付けてしまうのはいささか強引な気もします。

私はそれよりも脱ネクタイに抵抗感を持つ人が大勢いたことが問題だったのではないかと考えています。あの頃、信用と信頼を獲得する上でネクタイの威力は絶大で、それをわざわざ外すのにはかなりの勇気が必要だったのではないでしょうか。
「ネクタイは苦しいけど、世間体が・・・」そんな男たちがたくさんいたと聞きます。
一朝一夕に普及したように見える現代の「クールビズ」も、実はビジネスマンの長い葛藤の歴史の上に成り立っているのかもしれません。

ところで「クールビズ」が行き渡ったとはいえ、全体のファッション性が向上したわけではないようです。体型などに左右されるのかもしれませんが、ネクタイを外すと失業者のようにしか見えない人も中にはいます。昔も今も「涼しさ」と「カッコよさ」の両方を追求できるほど、男たちは洗練されてはいないのでしょう。

高岡大仏(富山県高岡市)
奈良の大仏、鎌倉の大仏とともに日本三大仏に称される高岡大仏は、高岡市の市街地の中心部、大佛寺に鎮座しています。 高岡伝統の銅器製造技術の粋を結集して作られました。総高15.85m、重量65tの堂々たる姿は高岡の象徴です。

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