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表紙とコラム Vol.115
永平寺(福井県永平寺町)

北陸の冬支度に欠かせない「雪吊り」について、先日知人から「ゆきづりとゆきつり、どちらが正しいのですか?」と尋ねられました。
たしかに新聞などは「ゆきづり」という風に濁音化していますが、ラジオやテレビでは濁らず「ゆきつり」と発音するケースもあるようです。日本語の連濁の法則に則れば、「中づり」や「逆さづり」のように濁音化すべきなのでしょうが、私の周囲でも「ゆきつり」を支持する人が大半でした。

これはどういうことなのか、私なりに考えてみたのですが、同音異義語の問題ではないかと・・・ 発音すると「ゆきづり」は「行きずり」とイントネーションも同じです。美しい幾何学模様を描く冬の風物詩を「行きずりの恋」や「行きずりの女」などが持つネガティブなイメージから守ろうという意識が「ゆきつり」を選ばせているのではないでしょうか。四季の変化に敏感な北陸人らしい気遣いだと、私は思っています。

ところで石川県ではまとまった雪が降ると河川敷などを雪捨て場に利用するのですが、必ずといっていいほど自治体は「排雪場」という看板を立てます。「ハイセツ」と聞けば誰でも頭が尾篭(びろう)な方向に行くことでしょう。
いくらお役所の仕事とはいえ、せっかくの雪景色を台無しにしてしまうようなネーミングに北陸人の細やかさはありません。もっと響きの良い言葉に言い換えられないものでしょうか。

永平寺(福井県永平寺町)
曹洞宗大本山永平寺は道元禅師により1244年に創建された「日本曹洞宗」の第一道場で出家参禅の道場です。広大な境内には約200人の雲水たちが修行をしています。 観光客で賑わう永平寺門前には名物の「永平寺そば」やお土産を売るお店が立ち並んでいます。

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