表紙とコラム Vol.106 | |
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受験シーズンが本番を迎えています。 今はもう消えたのかもしれませんが、通信が発達していない頃の大学受験では合格電報というものが重宝されていました。 各大学が歴史や校風に基づいて特色ある電文を用意していたので、話題になることも多かったように記憶しています。 有名なのは早稲田大の「イナホミノル」ですが、地方に目を移すと高知大の「クジラガツレタ」や奈良教育大の「ダイブツヨロコブ」のように郷土色あふれるものもありました。 ちなみに金沢大は「ケンロクエンノサクラサク」・・・喜びをふわりと包むような温もりが何ともいえません。 しかしこうした電報の素晴らしさは合格よりも、むしろ不合格の通知の方にあったと私は思うのです。 たとえばお茶の水女子大は涙をのんだ受験生に「コノメドキマテ(木の芽時 待て)」と呼びかけますが、これなどは「次のチャンスがあるじゃないか」とやさしく諭す名文句と言えます。 金沢大の「ノトノナミタカシ、サイキキス」も秀逸で、実際「再起期す」と言われ捲土重来を誓った人は多かったことでしょう。
叶わなかった結果を伝えるのは心苦しいものですが、それを画一的な案内で済ましてしまうのはあまりにも冷淡です。 |
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金沢湯涌夢二館(金沢市) 数多くの美人画を残した大正浪漫を代表する画家、竹久夢二。 夢二の妻、「たまき」は金沢出身であり、夢二も金沢に滞在中に展覧会を開いたりもしました。 最愛の女性・笠井彦乃と幸せな時を過ごした湯涌温泉に、夢二の作品や資料を収めた夢二館はあります。 |
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