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表紙とコラム Vol.57
白鳥路(金沢市)

知り合いのたこ焼き店主が最近、タコの仕入れ値の上昇をぼやいています。

そもそも屋台を含め日本のたこ焼きに使われているタコの大部分は地中海に面したモロッコ産で、水っぽい日本近海のタコでは味の点でまったく歯が立たないのだとか・・・
しかし長年、日本人が地中海のタコを食べてきたため、ここ数年モロッコでの漁獲高がめっきり減りタコの値段が高騰、それが各地のたこ焼き業者を直撃しているらしいのです。

ただ、たこ焼き店主は仕入れ値が上がっている理由はそれだけではないといいます。
聞けばタコはモロッコから中国にいったん送られ、たこ焼き用に細かく裁断されてから日本に入って来るのだそうです。どうやらその中国での人件費が近年上がっておりバカにならなくなっているのだとたこ焼き店主は解説してくれました。

いやはやタコのあまりにもグローバルな流通過程にびっくりです。

考えてみると世の中には庶民の味といわれる食べ物がたくさんありますが、それらの原材料は思いもよらない場所で調達されているのかもしれません。
庶民の味はあまりに廉価でそうした事情にはなかなか意識が向きませんが、流通過程で何らかの障害が発生すればたちどころに高級品へと変わってしまう可能性があるのです。
たこ焼きだっていつまでワンコインで食べていられるか、わかったものではありません。

白鳥路(金沢市)
金沢城石川門の下から続く小道は「白鳥路」と呼ばれる緑のトンネルです。 昔の白鳥堀跡が小道になっていて、道の途中には金沢が生んだ三文豪の像などが並びます。 ちなみに金沢の三文豪とは「泉鏡花」「徳田秋声」「室生犀星」の3人のことをさしています。

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